出音のほとんどの要素はピッキングが支配している。
どうやって弦を振動させるか。ベーシストはその事に全神経を集中する。
ただ押えて弾くだけでも音は出る。
しかしそれは目指すサウンドと言えるのか?自分の求める音なのか?
理想の出音に近づけるためにベースやアンプに付いているツマミをいじる。が、それでは音の素性は変わらない。プレイヤーが弦をハジいた瞬間に取り出される周波数は決まっている。
抜けの悪い出音をEQやコンプでいじくってみても何も解決しないのだ。もちろんいろんな機材を繋いでみたところで結果は同じ。
複雑で繊細な動きをするピアノのハンマーより更に繊細で大胆な動きをする人の手や指。
生活の中では字を書き、野菜を刻み、糸を紡いだりボールを投げたり。卵を割らずに握ることも瓦を素手で割る事も出来る。
この機能の全てを弦を弾くと言う事に使うのがベーシストの仕事なのだ。